くどうれいんの文章を初めて読んだとき、特別なことは何も書いていないのに、なぜか本を閉じたあとも言葉がまとわりついてきた。

「桃を煮るひと」は、彼女の日常を綴ったエッセイ集だ。食べること、感じること、誰かと過ごすこと。どれも普通のことなのに、くどうれいんの視点を通すと、何かが違って見える。

平熱なのに、熱い

過剰に感動させようとしない。劇的な出来事もない。それなのに読み終わると、自分の日常をもう少しだけ丁寧に見ようという気になる。それがくどうれいんの文章の不思議な力だと思う。

「あ、こういうふうに感じていいんだ」と、小さな許可をもらえる感覚。

詩人でもあるから

くどうれいんは詩人でもある。エッセイの中にも、ときどき詩的な跳躍がある。散文なのに、ある一文で急にリズムが変わる瞬間があって、そこがたまらない。

のこのこ書店で

この本を棚に並べたのは、「平熱で生きている人」に読んでほしかったから。毎日がドラマティックじゃなくていい。それでもちゃんとおもしろい、という感覚を届けたかった。

→ くどうれいん「桃を煮るひと」を見る(¥1,760)


のこのこ書店は奈良からお届けする、ちいさな本屋です。ほかの本も