くどうれいんの文章を初めて読んだとき、特別なことは何も書いていないのに、なぜか本を閉じたあとも言葉がまとわりついてきた。
「桃を煮るひと」は、彼女の日常を綴ったエッセイ集だ。食べること、感じること、誰かと過ごすこと。どれも普通のことなのに、くどうれいんの視点を通すと、何かが違って見える。
平熱なのに、熱い
過剰に感動させようとしない。劇的な出来事もない。それなのに読み終わると、自分の日常をもう少しだけ丁寧に見ようという気になる。それがくどうれいんの文章の不思議な力だと思う。
「あ、こういうふうに感じていいんだ」と、小さな許可をもらえる感覚。
詩人でもあるから
くどうれいんは詩人でもある。エッセイの中にも、ときどき詩的な跳躍がある。散文なのに、ある一文で急にリズムが変わる瞬間があって、そこがたまらない。
のこのこ書店で
この本を棚に並べたのは、「平熱で生きている人」に読んでほしかったから。毎日がドラマティックじゃなくていい。それでもちゃんとおもしろい、という感覚を届けたかった。
のこのこ書店は奈良からお届けする、ちいさな本屋です。ほかの本も